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キリル文字​(алфаві́т)

2026-10-06

ウクライナ語の文字は33です。形がラテン文字に似ている字が多く、вをビー、нをエイチと読むと、単語が別物になります。下の表は33文字の呼び方で、そのあとに、日本語話者が取り違えやすい字を並べています。

キリル文字とは

ウクライナ語は、キリル文字で書きます。元になったのはラテン語ではなくギリシャ語とされています。そのため、ラテン文字と見た目が近くても、読み方が同じとは限りません。

33文字の内訳は、母音字(голосні́)が10、子音字(при́голосні)が22、記号が1です。

キリル文字とは
区分文字
母音字 10а е є и і ї о у ю я
子音字 22б в г ґ д ж з й к л м н п р с т ф х ц ч ш щ
記号 1ь

記号のьは、単独では音になりません。直前の子音を軟らかく発音する印で、軟音記号(м’яки́й знак)といいます。詳しくは軟音記号とアポストロフィの記事にあります。йは短い「イ」のような音で、母音字と子音字の中間に置く説明もありますが、字の数では子音字に入れます。

33文字の​呼び方

ローマ字の「エー・ビー・シー」とは別の呼び方です。電話でつづりを伝えるときは、この呼び方を使います。

33文字の呼び方
文字呼び方注意
А аアー
Б бベー
В вヴェーラテンのBに見える。音はヴ
Г гヘーのどの奥で出す有声の「は」
Ґ ґゲー使われる単語は少ない
Д дデー
Е еエー
Є єイエー「ィエ」に近い
Ж жジェー日本語のジより舌の奥を使う
З зゼー
И иウィー「ゥイ」に近い。語頭には来ない
І іイー
Ї їイイー短い「イ」のあとに「イ」が続く
Й йヨット短い「イ」のような音
К кカー
Л лエル
М мエム
Н нエンラテンのHに見える。音はナ行
О оオ
П пペー
Р рエルラテンのPに見える。巻き舌のラ行
С сエスラテンのCに見える。音はサ行
Т тテー
У уウーラテンのYに見える。音はウ
Ф фエフ
Х хハーラテンのXに見える。のどの奥の強い「ハ」
Ц цツェー
Ч чチェー
Ш шシャー
Щ щシチャー「シチ」の2つの音
Ь ьм’яки́й знак音なし。軟音記号
Ю юユー
Я яヤー

辞書の見出しは、この順に並びます。ЛとРの呼び方は、教材の表ではどちらもエルと書かれています。

ラテン文字に​似て​見える​字

キリル文字には3つのタイプがあります。ラテン文字と形も音も同じ字(а к м о тなど)、形が似ていて音が違う字、ラテン文字にない字です。最初に取り違えるのは、2つ目のタイプです。

ラテン文字に似て見える字
字ラテンに見える形ウクライナ語の音
вBヴ、または語末と子音の前でウ
нHナ行
рP巻き舌のラ行
сCサ行(いつも s の音)
уYウ
хXのどの奥から強く出す「ハ」

хとгは別の字です。гは有声、хは無声で、この2つの違いは子音字の記事で扱います。

2字で​1つの​音を​表す組み合わせ

дзは日本語の「ヅ」の最初の音、джは「ぢゅ」に近い音です。どちらも2字で1つの音で、字の数には入りません。例は、дзво́ник(ベル)、бджола́(ミツバチ)です。

日本語との​違い

日本語の五十音は、1つの仮名が1つの音のまとまりです。ウクライナ語は文字が子音と母音に分かれ、母音字のないつづりは読めません。どの単語にも、母音が1つ以上入ります。

ラテン文字で覚えた読み方は、в н р с у хの6字で外れます。形から音を決めず、呼び方の表で字ごとに覚えます。

ウクライナ語は、ґ є і їの4字を使い、ё ъ ы эの4字を使いません。ロシア語の文字表と照らす教材では、この8字が差になります。

練習問題

正しいものを選んでください。

  1. ウクライナ語の文字は( 26 / 33 / 36 )です。
  2. ラテンのPに見えるрの音は( ピー / 巻き舌のラ行 / ペー )です。
  3. 音を持たない記号は( ь / й / ґ )です。
答え
  1. 33(母音字10、子音字22、記号1)
  2. 巻き舌のラ行(呼び方はエル)
  3. ь(軟音記号。直前の子音を軟らかくする)

参考に​した​資料

  • 黒田龍之助『初級ウクライナ語文法』三修社、2017年、p.2「ウクライナ語のアルファベット」、p.15「文字についてのまとめ」
  • 黒田龍之助『初級ウクライナ語文法』三修社、2017年、p.10「Дз дз」「Дж дж」
  • オクサーナ・ピスクノーヴァ『ゼロからスタート ウクライナ語 文法編』Jリサーチ出版、2023年、文字と発音編 Урок 1「アルファベット」(pp.12–13)