本文へ

「これは​〜です」と​存在文​(це)

2026-10-06

「これは〜です」「あれは〜です」は、це のあとに名詞を続けて言います。近くの物にも遠くの物にも同じ це を使います。「〜がここにいる」「ここに〜がある」も、名詞と場所の語を並べるだけで、「いる」「ある」に当たる動詞は使いません。入門の範囲では、це と то の使い分け、存在文の語順、疑問詞 хто・що・де、強める語の ось・он を押さえれば足ります。

使う​場面

物や人を指して「これは何ですか」「あの人は誰ですか」と尋ねるとき、道や建物の場所を聞くとき、その答えを言うときに使います。

  • Що це? — Це банк.(これは何ですか。— 銀行です)
  • Де по́шта? — По́шта он там.(郵便局はどこですか。— ほら、あそこです)

「〜です」に当たる語を使わない点は、「AはBです」の文の記事と同じです。

作り方

作り方
文の型例日本語
「これは〜です」Це рестора́н.これはレストランです
近くと遠くを分けるЦе брат, а то сестра́.こちらが兄で、あちらが姉です
存在文(名詞+場所)Брат тут.兄はここにいます
存在文(場所+名詞)Тут брат.ここに兄がいます
人を尋ねるХто це?これは誰ですか
物を尋ねるЩо там?あそこには何がありますか
場所を尋ねるДе банк?銀行はどこですか

це と​ то

це は「これ」「それ」「あれ」のどれにも当たり、指す物との距離では形を変えません。日本語の「これ」「あれ」のように近い・遠いを分けたいときだけ、遠いほうに то を使います。

名詞の前に付けて「この本」「あの人」と言うときは、це でなく別の語を使います。名詞に合わせて形が変わる語で、指示形容詞の記事で説明しています。

存在文

「AがBにいる(ある)」は、AとBを並べるだけです。Брат тут.(兄はここにいます)と Тут брат.(ここに兄がいます)のように、どちらの順でも言えます。日本語では「兄は」と「兄が」の違いになります。場所を表す語は、тут「ここに」、там「あそこに」が基本です。

疑問詞

疑問詞
疑問詞尋ねるもの日本語
хто人や動物。名前、家族の誰か、国籍など誰
що物や事柄何
де場所どこに、どこで

疑問詞は、ふつう文の初めに置きます。ただ、会話の流れによっては А там що?(で、あそこには何がありますか)のように後ろに来ることもあります。声は、疑問詞のアクセントがある母音を高くし、そのあとは下げて言います。

ось と​ он

場所を強めて「ほら、ここに」「ほら、あそこに」と言うときは、近ければ ось、遠ければ он を、強めたい語の前に置きます。

  • Банк ось тут.(銀行はほら、ここです)
  • Метро́ он там.(地下鉄はほら、あそこです)

日本語・英語とくらべると

日本語は「これ・それ・あれ」の3つを距離で使い分けますが、ウクライナ語は це 1つで足ります。英語の this と that の区別よりも、さらに少ないといえます。

英語は There is a bank here. のように there is を使いますが、ウクライナ語は Тут банк. と並べるだけです。冠詞も動詞も入らないので、日本語の「ここに銀行」と同じ短さで言えます。

例文

各文の下に、それぞれの語の働きを書きます。

  1. Це метро́.(これは地下鉄です)
  2. це → 「これ」。近い物にも遠い物にも使う。形は変わらない。
  3. метро́ → 名詞「地下鉄」。中性・単数。
  1. Хто це? — Це Окса́на.(これは誰ですか。— オクサナです)
  2. хто → 人を尋ねる疑問詞。文の初めに置く。
  3. Окса́на → 女性の名前。
  1. Що там? — Там по́шта.(あそこには何がありますか。— 郵便局です)
  2. що → 物を尋ねる疑問詞。
  3. там → 「あそこに」。答えでは場所の語を先に言っている。
  4. по́шта → 名詞「郵便局」。女性・単数。
  1. Де рестора́н? — Рестора́н тут.(レストランはどこですか。— ここです)
  2. де → 場所を尋ねる疑問詞。
  3. рестора́н → 名詞「レストラン」。男性・単数。
  4. тут → 「ここに」。名詞のあとに置いて「〜はここにいる・ある」。
  1. Це банк, а то рестора́н.(こちらが銀行で、あちらがレストランです)
  2. це → 近い物を指す。
  3. а → 「一方〜は」。2つを比べる。
  4. то → 遠い物を指す。近い・遠いを分けたいときに使う。
  1. Тут брат, а там сестра́.(ここに兄が、あそこに姉がいます)
  2. тут・там → 場所の語を先に置いた存在文。
  3. брат → 名詞「兄・弟」。男性・単数。
  4. сестра́ → 名詞「姉・妹」。女性・単数。
  1. Де Тара́с? — Тара́с ось тут.(タラースはどこですか。— ほら、ここです)
  2. Тара́с → 男性の名前。
  3. ось → 近い場所を強める語。強める тут の前に置く。

練習問題

正しいものを選んでください。

  1. —( Хто / Що / Де )це? — Це брат.
  2. —( Хто / Що / Де )по́шта? — По́шта он там.
  3. Рестора́н тут, а банк( ось / он / що )там.
答え
  1. Хто(брат は人なので人を尋ねる語)
  2. Де(答えが場所なので場所を尋ねる語)
  3. он(там は遠い場所なので、遠いほうを強める語)

参考に​した​資料

  • 中澤英彦『ニューエクスプレス ウクライナ語』白水社、2009年、p.24〜25「第2課」の会話と単語、p.26の「Це 〜」の節、存在文「〜がある(いる)」、疑問詞のある疑問文、p.28の単語