本文へ

名詞の​複数形​(множина́)

2026-10-06

ウクライナ語の名詞は、2つ以上のものを表すときに語尾が変わります。どの語尾になるかは、名詞の性と、最後の文字とその前の文字で決まります。入門の範囲では、主格の複数形の語尾と、語幹の母音が消えたり変わったりする語を押さえれば足ります。ほかの格の複数形はこの記事の範囲外です。

使う​場面

人や物が2つ以上あるときに使います。主語が複数形なら、過去形の動詞も複数の形になります。

  • Тут теа́три.(ここには劇場がいくつかあります)
  • Хло́пці чита́ли.(少年たちは読んでいました)

名詞の性の見分け方は、名詞の性の記事で説明しています。

作り方

男性名詞と女性名詞は語尾を и・і・ї に、中性名詞は а・я にします。色の付いた部分が複数形の語尾です。

作り方
元の形複数形日本語
теа́тр(劇場・男性)теа́три劇場(複数)
день(日・男性)дні́日(複数)
ніж(ナイフ・男性)ножі́ナイフ(複数)
край(地方・男性)краї́地方(複数)
мо́ва(言葉・女性)мо́ви言葉(複数)
гру́ша(梨・女性)гру́ші梨(複数)
ніч(夜・女性)но́чі夜(複数)
сло́во(語・中性)слова́語(複数)
мо́ре(海・中性)моря́海(複数)
мі́сце(席・中性)місця́席(複数)

語尾は、名詞の種類で次のように決まります。

  • 硬音型の男性名詞と女性名詞は и です。男性名詞は最後に足し(теа́тр → теа́три)、女性名詞は -а を取って付けます(мо́ва → мо́ви)。
  • 軟音型の男性名詞と女性名詞は і です。-ь や -я を取って付けます(день → дні、Та́ня → Та́ні)。-й で終わる語は й を取って ї を付けます(край → краї́)。
  • ж、ч、ш、щ で終わる語や、ж、ч、ш、щ のあとに -а が続く語も і です(ніж → ножі́、гру́ша → гру́ші)。子音で終わる女性名詞も і です(ніч → но́чі、по́вість「物語」→ по́вісті)。
  • 中性名詞は、-о を а に、-е を я に変えます(сло́во → слова́、мо́ре → моря́)。

語幹の母音が変わる語もあります。

  • 最後の子音の前の о や е が消える語があります(хло́пець「少年」→ хло́пці、млине́ць「クレープ」→ млинці́、день → дні)。
  • 最後の子音の前の і が о に変わる語があります(ніч → но́чі、ніж → ножі́)。

アクセントの位置が単数と複数で変わる語もあります(сло́во → слова́、мо́ре → моря́、мі́сце → місця́)。どの語で変わるかは語ごとに決まっているので、複数形も辞書でアクセントを確かめてください。

日本語・英語とくらべると

日本語は「本が3冊」のように、名詞の形を変えずに数を表します。「〜たち」は人にしか付けません。英語は book → books のように -s を付けます。ウクライナ語は英語と同じく名詞の形で複数を表しますが、語尾は名詞の性と最後の文字によって変わります。

例文

各文の下に、名詞の性・数と、なぜその語尾かを書きます。

  1. Тут теа́три.(ここには劇場がいくつかあります)
  2. тут → 「ここに」。
  3. теа́три → 男性名詞・複数。硬い子音で終わるので -и を足す。
  1. Хло́пці чита́ли.(少年たちは読んでいました)
  2. хло́пці → 男性名詞・複数。-ць の前の е が消え、-і を付ける。
  3. чита́ли → чита́ти の過去形・複数。
  1. Де гру́ші? — Вони́ там.(梨はどこですか。— あそこにあります)
  2. гру́ші → 女性名詞・複数。ш のあとなので -и でなく -і。
  3. вони́ → 主格の人称代名詞(3人称複数)。物にも使う。
  1. Де ножі́? — Вони́ тут.(ナイフはどこですか。— ここにあります)
  2. ножі́ → 男性名詞・複数。ж で終わるので -і。і が о に変わり、アクセントは語尾に移る。
  1. Хло́пці були́ в теа́трі.(少年たちは劇場にいました)
  2. хло́пці → 男性名詞・複数。主語。
  3. були́ → бу́ти の過去形・複数。
  4. теа́трі → 所格。単数のまま。
  1. Тут місця́.(ここに席があります)
  2. місця́ → 中性名詞・複数。-е を -я に変え、アクセントは語尾に移る。
  1. Це по́вісті.(これは物語です)
  2. це → 「これは」。複数のものにも使う。
  3. по́вісті → 女性名詞・複数。-ь で終わる女性名詞なので -і。

練習問題

正しいものを選んでください。

1.( Хло́пець / Хло́пці / Хло́пця )чита́ли. 2. Де( гру́ша / гру́ші / гру́шу )? — Вони́ там. 3. Де( мі́сце / місця́ / мі́сці )? — Вони́ тут.

答え
  1. Хло́пці(чита́ли は複数の形なので、主語も複数)
  2. гру́ші(вони́ で受けるので複数。ш のあとは -і)
  3. місця́(-е で終わる中性名詞の複数は -я)

参考に​した​資料

  • 中澤英彦『ニューエクスプレス ウクライナ語』白水社、2009年、p.36「名詞の複数形と変化のヒント」
  • kaikki.org Ukrainian dictionary: місце(2026-10-06閲覧)місця́(nominative, plural)。ほかの名詞の複数形も同じ辞書の各見出しで確認