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ウクライナの地名のカタカナ(Ки́їв・Оде́са)

2026年10月28日

2022年の変更

日本政府は2022年3月31日に、ウクライナの首都の呼び方を、ロシア語読みの「キエフ」からウクライナ語読みの「キーウ」に改めました。首都以外の地名も、同じくウクライナ語の読みにもとづく呼び方に改めることにしました。翌4月1日の記者会見で外務大臣は、チェルノブイリがチョルノービリに、オデッサがオデーサに、ドニエプルがドニプロに変わると例を挙げました。

外務省の説明では、ロシアの侵略を受けて、政府はウクライナとの連帯を示す方法を検討していました。そのなかで、首都の呼び方をウクライナ語にしてはどうかという声が各方面から寄せられました。ウクライナ政府に問い合わせて回答を得たうえでの変更です。

主な地名

主な地名
ウクライナ語以前の書き方今の書き方違いが出る文字
Ки́їв(首都)キエフキーウї、語末のв
Ха́рківハリコフハルキウі、語末のв、ロシア語のрь
Оде́саオデッサオデーサсが1つ
Чорно́бильチェルノブイリチョルノービリо、и
Дніпро́(川)ドニエプルドニプロі、語末のо
Львівリヴィウリヴィウ変更の前からウクライナ語の読み
Полта́ваポルタヴァポルタヴァなし(ロシア語もПолтава)
Кримクリミアクリミア英語名のCrimeaに基づく、前からの呼び方

変更の前から、外務省と大使館のページには、ロシア語の読みとウクライナ語の読みの書き方が混ざっていました。外務省の海外安全ホームページは2015年にハルキウ、2022年2月にリヴィウと書いていて、大使館が2015年に出した「キエフ案内」にも「リヴォフ(露)→リヴィウ(宇)」とあります。表のドニエプルは川の名前ですが、大使館の2021年の「ウクライナ概観」は、川も都市もドニプロと書いています。一方で、大使館の「ウクライナ経済」のページには、2022年1月の時点でもハリコフやドニエプルが残っていました。

書き方が変わる文字

カタカナの書き方の違いは、2つの言葉で文字が違うところと、同じ文字でも読み方が違うところから出ています。

  • Ки́ївのїは「イ」に「イ」が続く音で、ロシア語にはない文字です。ロシア語のКиевでは同じところがеなので、キエフと「エ」が入っていました。іもロシア語にはなく、ハルキウの「キ」とドニプロの「ニ」の母音がこの字です。ロシア語のХарьков・Днепрでは同じところがо・еになるので、ハリコフ・ドニエプルと書かれていました(母音字)。
  • 語末のвは、ウクライナ語では「ウ」に近い音になります。Ки́ївがキーウ、Ха́рківがハルキウ、Львівがリヴィウになるのはこのためです。ロシア語では語末のвを「フ」に近く読むので、キエフ・ハリコフと書かれていました(子音字)。
  • Чорно́бильの最初のоは、アクセントのない位置でも「オ」と読みます。ロシア語ではЧернобыльと書き、同じところがеなので、チェルノブイリの「チェ」になっていました(母音字)。
  • Чорно́бильのиは、ロシア語のЧернобыльではыです。チェルノブイリの「ブイ」はыの音を、チョルノービリの「ビ」はиの音を表しています(ウクライナ語とロシア語の違い)。
  • Оде́саはсが1つです。ロシア語のОдессаはсが2つで、「オデッサ」の「ッ」は、この2つ並んだсにあたります。

アクセントのある母音は、カタカナで長音にすることがあります。Ки́ївのキー、Оде́саのデー、Чорно́бильのノーがその例です(アクセント)。

練習問題

  1. ウクライナの首都Ки́ївを、日本政府が2022年3月31日から使っている書き方は、キエフとキーウのどちらですか。
  2. Ха́рківの最後のвは、カタカナで何と書かれていますか。
  3. Чорно́бильの最初のоは、ロシア語のЧернобыльではどの字ですか。
答え
  1. キーウ
  2. ウ(ハルキウ)
  3. е(チェルノブイリの「チェ」)

参考にした資料

  1. ウクライナ語とロシア語の違い(украї́нська і росі́йська)ウクライナ語の文をロシア語と見分ける手がかりが分かります。
  2. 正書法(право́пис)ц ж ш ч щ のあとのつづりと、ь の置けない位置が分かります。
  3. キリル文字(алфаві́т)33文字の呼び方と、ラテン文字に似て読み間違える字が分かります。
  4. 子音の同化(асиміля́ція)語末の有声子音が無声にならないことと、子音が並ぶと起こる有声化・無声化が分かります。