仮定法(би・б)
2026-10-08
- 文法
- 初級
仮定法は、現実にはない条件や、控えめな願いを言う動詞の形です。作り方は、動詞の過去形に、小さな語 би か б を添えるだけです。初級の範囲では、би と б の使い分けと、якби́・коли́ б の条件の文、そして якщо́ を使う現実の条件との違いを押さえれば足ります。
使う場面
「もし時間があれば行くのに」のように、実際にはそうでないことを仮に言うときに使います。「〜したいのですが」のように、願いを控えめに言うときにも使います。現実に起こるかもしれないことを条件にするときは、仮定法ではなく якщо́ を使います。
- Я хоті́в би чита́ти.(読みたいのですが)
- Якби́ ми ма́ли кни́гу, ми чита́ли б.(本があれば、読むのに)
作り方
動詞の過去形に би か б を続けます。子音で終わる語のあとでは би、母音で終わる語のあとでは б です。過去形は、主語の性と数で形が変わります。
| 主語 | 日本語 | 過去形+би・б |
|---|---|---|
| я(男性が言うとき) | 私なら読むだろう | я чита́в би |
| я(女性が言うとき) | 私なら読むだろう | я чита́ла б |
| він | 彼なら読むだろう | він чита́в би |
| вона́ | 彼女なら読むだろう | вона́ чита́ла б |
| вони́ | 彼らなら読むだろう | вони́ чита́ли б |
仮定法には時制がありません。過去形の形をしていますが、過去のことだけを表すのではありません。時を示したいときは、вчо́ра(昨日)のような語を足します。
条件を言う文は、якби́ か коли́ б で始めます。結果を言う文の頭に то を置くこともあります(Якби́ ти був вдо́ма, то я чита́в би.)。結果を言う文では、би・б を主語や動詞のあとに置くのがふつうです(я б чита́в、я чита́в би)。強調したい語のあとに置くこともあります。
現実に起こるかもしれないことは、якщо́ と未来形で言います。この場合は仮定法を使いません。
| 種類 | 例 | 日本語 |
|---|---|---|
| 現実の条件(якщо́+未来形) | Якщо́ ти бу́деш вдо́ма, я чита́тиму. | 家にいるなら、読みます |
| 非現実の条件(якби́+過去形、過去形+би・б) | Якби́ ти був вдо́ма, я чита́в би. | 家にいたら、読むのに |
日本語・英語と比べると
日本語は「〜たら…のに」「〜たいのですが」と、文の終わりの形で非現実や控えめな気持ちを表します。英語は would や If I had のように、助動詞と動詞の形を変えて表します。ウクライナ語は、動詞の過去形に би・б を1つ添えるだけで、条件の文にも結果の文にも願いにも使えます。過去形の形をしていても過去の意味にはならない点は、英語の If I had time に近い考え方です。
例文
各文の下に、単語の形を書きます。
- Він чита́в би кни́гу вдо́ма.(彼なら家で本を読むのに)
- чита́в → чита́ти の過去形(男性)。子音で終わるので би が続く。
- кни́гу → 対格(女性・単数)。
- вдо́ма → 「家で」を表す副詞(形は変わらない)。
- Вона́ чита́ла б вве́чері.(彼女なら晩に読むのに)
- чита́ла → чита́ти の過去形(女性)。母音で終わるので б が続く。
- вве́чері → 「晩に」を表す副詞(形は変わらない)。
- Якби́ я ма́ла час, я б чита́ла.(時間があれば、私は読むのに)
- якби́ → 非現実の条件を導く接続詞。
- ма́ла → ма́ти「持つ」の過去形(女性)。条件の文の動詞は過去形。
- я б → б は母音の я のあとなので б。結果の文では主語のあとに置いた。
- чита́ла → чита́ти の過去形(女性)。
- Якби́ вона́ була́ вдо́ма, ми чита́ли б ра́зом.(彼女が家にいたら、私たちは一緒に読むのに)
- була́ → бу́ти の過去形(女性)。条件の文の動詞は過去形。
- чита́ли → чита́ти の過去形(複数)。母音で終わるので б。
- Коли́ б ми були́ вдо́ма, ми б співа́ли.(私たちが家にいたら、歌うのに)
- коли́ б → якби́ と同じく条件の文を導く。б は коли́ のすぐあとに置く。
- були́ → бу́ти の過去形(複数)。
- співа́ли → співа́ти の過去形(複数)。
- Ми хоті́ли б чита́ти ра́зом.(私たちは一緒に読みたいのですが)
- хоті́ли → хоті́ти の過去形(複数)。母音で終わるので б。願いを遠まわしに言う。
- чита́ти → 不定詞。「読む」ことを願う。
- Якщо́ ти бу́деш вдо́ма, я чита́тиму.(家にいるなら、私は読みます)
- якщо́ → 現実に起こるかもしれない条件を導く接続詞。
- бу́деш → бу́ти の未来形(2人称単数)。仮定法ではなく未来形を使う。
- чита́тиму → чита́ти の総合未来形(1人称単数)。
練習問題
正しいものを選んでください。
- Вона́ чита́ла ( би / б / ли ) вве́чері.
- Якби́ ми ( були́ / бу́демо / є ) вдо́ма, ми співа́ли б.
- ( Якби́ / Якщо́ / Коли́ б ) ти бу́деш вдо́ма, я чита́тиму.
答え
- б(чита́ла は母音 а で終わるので б)
- були́(条件の文の動詞は過去形)
- Якщо́(現実に起こるかもしれない条件は якщо́ と未来形で言う)
参考にした資料
- 中澤英彦『ニューエクスプレス ウクライナ語』白水社、2009年、p.102「2. 仮定法」(би・б の使い分け、коли́ б・якби́)、p.103「仮定と仮定法」(я хоті́в би の願い、якщо́ +未来形との違い)