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属格​(родови́й відмі́нок)

2026-10-06

属格は「〜の」を表す格で、日本語の「の」にあたります。持ち主や所属を言うほか、нема́є(ない・いない)のあとで、ないものや、いない人にも使います。語順は日本語と逆で、「の」にあたる単語は修飾される単語のあとに置きます。黒田龍之助の文法書は、この格を生格ともいいます。初級の範囲では、男性・女性・中性の語尾と、нема́є のあとの使い方を押さえれば足ります。

使う​場面

「オクサーナの本」「町の公園」のように、持ち主や所属を言うときに使います。日本語の「〜の」と重なる場面がほとんどです。

もう1つ、нема́є のあとで、ないものやいない人を表すときにも使います。ふつうの文なら主格の単語が、нема́є の文では属格になります。この使い方は、持ち主や所属とは関係がありません。

  • Це кни́га Окса́ни.(これはオクサーナの本です)
  • Удо́ма нема́є ка́ви.(家にはコーヒーがありません)

作り方

名詞の性によって語尾の作り方が決まります。

作り方
元の形属格日本語
Окса́на(オクサーナ・女性)Окса́ниオクサーナの
кімна́та(部屋・女性)кімна́ти部屋の
Марі́я(マリーヤ・女性)Марі́їマリーヤの
Тара́с(タラース・男性)Тара́саタラースの
екра́н(画面・男性)екра́на画面の
телефо́н(電話・男性)телефо́ну電話の
мі́сто(町・中性)мі́ста町の

女性名詞は、-а を取って и を付けます。-я で終わる単語は -я を ї に変えます。ка・га・ха で終わる単語も、属格では子音が変わらず、語尾は и です(кни́га → кни́ги)。

男性名詞は、子音で終わる単語に а か у を付けます。大まかには、人や地名は -а、物や自然現象は -у ですが、例外が多く、単語ごとに覚えます。両方の形を持つ単語もあり、意味によって使い分ける単語さえあります。入門から初級の範囲では、「人は -а、物は -у」と捉え、例外はそのつど覚えます。

中性名詞は、-о を а に変えます(мі́сто → мі́ста)。-е で終わる単語は я になります(мо́ре → мо́ря)。

нема́є は現在形です。過去の文では не було́、未来の文では не бу́де に変わり、ない物やいない人はどの時制でも属格です。

日本語・英語とくらべると

日本語の「の」は、持ち主を前に置きます(オクサーナの本)。ウクライナ語は、修飾される単語を先に置いて、そのあとに属格を付けます(кни́га Окса́ни)。英語の of の語順と同じです。нема́є は日本語の「〜がない」に近い意味ですが、ない物を示す日本語の「が」にあたる語尾は主格ではなく属格です。「ある・いる」の文の主語と、「ない・いない」の文の主語で、形が変わります。

対格との​使い分け

人を表す男性名詞では、対格と属格が同じ形になるので、取り違えやすい組み合わせです。

対格との使い分け
使う場面使う格例
「〜を」(直接目的語)対格Ми зна́ємо Тара́са.(私たちはタラースを知っています)
「〜の」(持ち主・所属)属格Це кни́га Тара́са.(これはタラースの本です)

上の2文の Тара́са は、形が同じです。文の中での役割(「〜を」か「〜の」か)から格を判断します。

例文

各文の下に、単語ごとに「どの形か」と「なぜその形か」を書きます。

  1. Це кни́га Окса́ни.(これはオクサーナの本です)
  2. кни́га → 主格。「これは〜です」の述語になる単語。
  3. Окса́ни → 属格。кни́га の持ち主。-а を取って -и を付ける。
  1. Це екра́н телефо́ну.(これは電話の画面です)
  2. екра́н → 主格。述語になる単語。
  3. телефо́ну → 属格。物を表す男性名詞なので、-у を付ける。
  1. Це адре́са шко́ли.(これは学校の住所です)
  2. адре́са → 主格。述語になる単語。
  3. шко́ли → 属格。адре́са が属する場所。-а を取って -и を付ける。
  1. Удо́ма нема́є ка́ви.(家にはコーヒーがありません)
  2. нема́є → 「ない」を表す語。あとに属格が続く。
  3. ка́ви → 属格。ないもの。-а を取って -и を付ける。
  1. Си́на нема́є в мі́сті.(息子は町にいません)
  2. си́на → 属格。いない人。男性名詞に -а を付ける。
  3. мі́сті → 所格。場所を表す в のあと。
  1. Це па́рк мі́ста.(これは町の公園です)
  2. па́рк → 主格。述語になる単語。
  3. мі́ста → 属格。中性名詞なので、-о を -а に変える。
  1. Сестри́ нема́є вдо́ма.(姉は家にいません)
  2. сестри́ → 属格。いない人。-а を取って -и を付ける。ただしアクセントは語尾に移る。

練習問題

正しいものを選んでください。

  1. Це кни́га( Окса́на / Окса́ни / Окса́ну ).
  2. Удо́ма нема́є( ка́ва / ка́ву / ка́ви ).
  3. Це па́рк( мі́сто / мі́ста / мі́сту ).
答え
  1. Окса́ни(持ち主は属格で、-а を取って -и を付ける)
  2. ка́ви(нема́є のあとは属格)
  3. мі́ста(中性名詞は -о を -а に変える)

参考に​した​資料

  • 黒田龍之助『初級ウクライナ語文法』三修社、2017年、p.122-123「第11課 基本 名詞の単数生格形の作り方」(男性 -а、女性 -а → -и、中性 -о → -а)
  • 同、p.124「応用1 男性単数生格形の2つの語尾」(-а と -у、人は -а・物は -у で例外が多い)
  • 同、p.125「応用2 否定生格」(нема́є、не було́、не бу́де のあとの属格)
  • kaikki.org Ukrainian「Марі́я」「genitive singular: Марі́ї」(2026-10-06閲覧)