所有の表現(у ме́не є)
2026-10-08
- 文法
- 初級
ウクライナ語で「私には兄弟がいる」「私は時間がない」と言うときは、「持つ」という動詞ではなく、у と属格を使った文を使います。у のあとに持ち主を属格で置き、そのあとに є と、持っているものを続けます。持っているものが主語になるので、過去と未来では、その主語の性と数に合わせて бу́ти の形を選びます。否定では、ないものが属格になります。初級の範囲では、人称代名詞の属格の形、現在・過去・未来の3つの文、нема́є の文を押さえれば足ります。
使う場面
持ち主が人や動物のときに使います。持っているもの、家族、時間のような、その人のもとにあるものを言う場面です。日本語の「〜には…がある・いる」に当たります。
- У ме́не є брат.(私には兄弟がいます)
- У ньо́го є час.(彼には時間があります)
属格の使い方のうち、「〜の」を表す用法と нема́є の基本は、属格の記事で説明しています。この記事は、у を使った持ち主の言い方と、属格が動詞や数量を表す語のあとに来る使い方を扱います。
作り方
持ち主は、у のあとに属格で置きます。人称代名詞の属格は、次の形です。
| 持ち主 | у + 属格 | 日本語 |
|---|---|---|
| я | у ме́не | 私には |
| ти | у те́бе | 君には |
| він | у ньо́го | 彼には |
| вона́ | у не́ї | 彼女には |
| ми | у нас | 私たちには |
| ви | у вас | 君たち・あなたには |
| вони́ | у них | 彼らには |
ньо́го、не́ї、них は、у のような前置詞のあとで н が付いた形です。
現在は、持っているものが何であっても、є はいつも同じ形です。過去と未来では、持っているものを主語にして、бу́ти の形を選びます。
| 時制 | 持っているもの | 文 |
|---|---|---|
| 現在 | どれでも | У ме́не є брат. |
| 過去 | 男性 | У ме́не був брат. |
| 過去 | 女性 | У ме́не була́ сестра́. |
| 過去 | 中性 | У ме́не було́ вікно́. |
| 過去 | 複数 | У ме́не були́ кни́ги. |
| 未来 | 単数 | У ме́не бу́де кни́га. |
| 未来 | 複数 | У ме́не бу́дуть кни́ги. |
過去形の作り方は過去形の記事で、未来形は未来形の記事で説明しています。複数の кни́ги は、名詞の複数形の記事で説明している形です。
否定では、ないものを属格にします。形は、時制ごとに決まっています。
| 時制 | 肯定 | 否定 |
|---|---|---|
| 現在 | є | нема́є |
| 過去 | був, була́, було́, були́ | не було́ |
| 未来 | бу́де, бу́дуть | не бу́де |
否定では、ないものが何であっても、形は変わりません。過去は性や数に関係なく не було́、現在は нема́є、未来は не бу́де です。
動詞のあとの否定属格
動詞 ма́ти「持つ」を使う文でも、肯定の文で対格の目的語は、否定の文でしばしば属格になります。
| 文 | 格 | 例 |
|---|---|---|
| 肯定 | 対格 | Я ма́ю ка́ву.(私はコーヒーを持っています) |
| 否定 | 属格 | Я не ма́ю ка́ви.(私はコーヒーを持っていません) |
数量を表す語のあと
量を表す語のあとの名詞は、属格です。量は単数の属格で言います。
- бага́то ка́ви(たくさんのコーヒー)
- тро́хи ка́ви(少しのコーヒー)
5以上の数詞や、бага́то のような語のあとで数えられるものを言うときは、複数の属格になります(бага́то книг)。2〜4のあとは別の形で、数詞と名詞の結合の記事で説明しています。複数の属格は、名詞の複数形の格変化の記事で説明しています。
動詞や前置詞のあと
属格は、動詞や前置詞の目的語としても使います。навча́ти「教える」のあとの мо́ви や、від のあとの університе́ту がその例です。前置詞のあとの属格は、属格の記事に一覧があります。
日本語・英語と比べると
日本語の「私には兄弟がいる」は、持ち主を「に」で、持っているものを「が」で言います。ウクライナ語も、持ち主が у ме́не、持っているものが主語で、この組み立ては日本語に近いものです。英語の I have a brother のように、持ち主が主語になる文とは違います。そのため過去形は、持ち主ではなく、持っているものの性と数に合わせて選びます。持ち主が女性でも、兄弟なら У не́ї був брат. です。
例文
各文の下に、単語の形と、なぜその形かを書きます。
- У ме́не є сестра́.(私には姉妹がいます)
- ме́не → 属格。у のあと。持ち主。
- є → 現在の「ある・いる」。形は変わらない。
- сестра́ → 主格。持っているものが主語。
- У вас є кварти́ра?(あなたはアパートをお持ちですか)
- вас → 属格。у のあと。
- кварти́ра → 主格。持っているもの。
- У ньо́го був телефо́н.(彼は電話を持っていました)
- ньо́го → 属格。у のあとで、н が付く。
- був → бу́ти の過去形(男性)。телефо́н が男性の名詞だから。
- телефо́н → 主格。
- У не́ї була́ кни́га.(彼女には本がありました)
- не́ї → 属格。
- була́ → бу́ти の過去形(女性)。кни́га が女性の名詞だから。
- У нас за́втра бу́де уро́к.(私たちには明日、授業があります)
- нас → 属格。
- за́втра → 「明日」を表す副詞。
- бу́де → бу́ти の未来形(3人称単数)。
- У ме́не нема́є телефо́ну.(私には電話がありません)
- нема́є → 現在の「ない」。
- телефо́ну → 属格。ないもの。男性名詞の属格は、語によって -а か -у になる。どちらになるかは、属格の記事で説明している。
- У них вчо́ра не було́ уро́ку.(彼らには昨日、授業がありませんでした)
- них → 属格。у のあとで、н が付く。
- не було́ → 過去の「ない」。いつもこの形。
- уро́ку → 属格。ないもの。
練習問題
正しいものを選んでください。
- У( я / ме́не / мені́ )є сестра́.
- У не́ї( був / була́ / було́ )кни́га.
- У нас нема́є( ка́ва / ка́ви / ка́ву ).
答え
- ме́не(у のあとは属格)
- була́(кни́га が女性の名詞なので)
- ка́ви(нема́є のあとは属格)
参考にした資料
- 中澤英彦『ニューエクスプレス ウクライナ語』白水社、2009年、p.68「2. 属格の用法」(属格の用法、数量属格 бага́то води́)
- 同、p.69「③所有の表現」「④否定属格」(у+属格+є、人称代名詞の属格、був、нема́є・не було́・не бу́де、ма́ти の否定)
- kaikki.org Ukrainian「уро́к」(2026-10-08閲覧)属格の語形(уро́ку)の確認