格とは
2026年10月13日
格(відмі́нок)とは、名詞が文の中でどんな役割を持つかを、語尾の形で示すしくみです。日本語は「本が」「本を」「本の」のように助詞を付け替えますが、ウクライナ語は助詞を付けず、名詞の語尾を変えます。ウクライナ語の名詞には7つの格があります。
例えば「本」は кни́га です。Я чита́ю кни́гу.(私は本を読みます)では、「本を」にあたる形が кни́гу になります。日本語で「を」を足すところで、ウクライナ語は最後の а を у に変えます。
格が 示すもの
語尾が変わらない部分を語幹、変わる部分を語尾といいます。кни́га なら кни́г- が語幹で、-а が語尾です。格によって変わるのは、この語尾です。
主語なら主格、動詞の目的語なら対格というように、文の中の役割で使う格が決まります。前置詞のあとの格も、前置詞ごとに決まっています。役割が語尾に出るので、語順はかなり自由に入れ替えられます。
名詞を修飾する形容詞や、名詞の代わりの代名詞も、名詞と同じ格に合わせて形を変えます。
7つの 格
| 格 | 主な働き | 助詞との近さ | 例 |
|---|---|---|---|
| 主格 | 主語 | が・は | Це моя́ сестра́.(これは私の姉です) |
| 対格 | 動詞の目的語 | を | Я чита́ю кни́гу.(私は本を読みます) |
| 属格 | 持ち主・所属 | の | Це кни́га сестри́.(これは姉の本です) |
| 所格 | 場所(必ず前置詞と使う) | で・に | Кни́га на столі́.(本は机の上にあります) |
| 与格 | 受け取る人 | に | Я даю́ сестрі́ кни́гу.(私は姉に本をあげます) |
| 具格 | 道具・手段 | で | Я пишу́ ру́чкою.(私はペンで書きます) |
| 呼格 | 呼びかけ | よ | Ма́мо, де кни́га?(お母さん、本はどこ?) |
主格は辞書に載っている形です。ほかの6つの格は、この主格の語尾を変えて作ります。
表の「助詞との近さ」は、はじめに働きをつかむための目安です。所格の「で・に」と具格の「で」のように、日本語では同じ助詞になる格もあります。所格は場所の「で」、具格は道具の「で」です。
語尾の 変え方は 性で 違う
同じ格でも、名詞の性によって語尾が違います。кни́га(本、女性名詞)の対格は кни́гу ですが、стіл(机、男性名詞)の対格は стіл のままです。格が違っても語尾が同じになる組み合わせもあります。
語尾の変え方と使う場面は、格ごとの記事で確認してください。
練習問題
- Я чита́ю кни́гу. の кни́гу は、7つの格のうちどれですか。
- Це кни́га сестри́. の сестри́ は、7つの格のうちどれですか。
- 必ず前置詞と一緒に使う格はどれですか。
- 人に呼びかけるときに使う格はどれですか。
答え
- 対格(動詞の目的語)
- 属格(「姉の」を表す)
- 所格
- 呼格
参考に した 資料
- 中澤英彦『ニューエクスプレス ウクライナ語』白水社、2009年、p.33「名詞の格」
- kaikki.org Ukrainian dictionary: сестра(2026-10-13閲覧)сестри́(genitive singular)、сестрі́(dative singular)。ほかの名詞の格の形も同じ辞書の各見出しで確認