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人称代名詞の​格変化​(мене́・тебе́)

2026-10-08

人称代名詞も、名詞と同じように格によって形が変わります。「私を」「君に」「彼女と」のように言うには、я・ти・він などの主格とは別の形が必要です。形の多くは不規則で、語尾を足して作るのではなく、形ごと覚えます。3人称には、前置詞のあとで頭に н が付く特別な形もあります。初級の範囲では、この表の形と、前置詞のあとで変わる形を押さえれば足ります。

使う​場面

人称代名詞を、主語以外の働きで使うときに、この形を使います。

  • 「〜を」は対格、「〜に」は与格、「〜と」は具格です。
  • 「〜の」や「〜がない」は属格です。
  • 前置詞は、そのあとに続く代名詞の格を決めます。場所を表す на や в のあとは所格、для や бі́ля のあとは属格、з のあとは具格です。

所格の形は、前置詞のあとにしか現れません。

  • Ти зна́єш мене́?(私を知っていますか)
  • Вона́ гово́рить з ни́ми.(彼女は彼らと話します)

作り方

1人称と2人称の単数は、次の形です。対格と属格は同じ形で、所格と与格も同じ形です。

作り方
格я(私)ти(君)
主格яти
対格мене́тебе́
属格мене́тебе́
所格мені́тобі́
与格мені́тобі́
具格мно́ютобо́ю

1人称と2人称の複数は、次の形です。

作り方
格ми(私たち)ви(あなた・あなたたち)
主格миви
対格насвас
属格насвас
所格насвас
与格намвам
具格на́мива́ми

複数は、対格・属格・所格がすべて同じ形です。

3人称は、次の形です。він と воно́ は、主格だけが違います。

作り方
格вони́(彼ら)вона́(彼女)він・воно́(彼・それ)
主格вони́вона́він / воно́
対格їхїї́його́
属格їхїї́його́
所格нихнійньо́му / нім
与格їмїййому́
具格ни́мине́юним

3人称の代名詞は、前置詞のあとでは頭に н が付き、アクセントも変わります。1人称と2人称の単数も、対格と属格が前置詞のあとに来るとアクセントが前の母音に移ります。

作り方
元の形前置詞のあと例
мене́ме́неу ме́не(私のところに)
тебе́те́бедо те́бе(君のところまで)
його́ньо́годо ньо́го(彼のところまで)
її́не́їдо не́ї(彼女のところまで)
їхнихдо них(彼らのところまで)

所格の形は、表のとおり、もともと前置詞のあとの形です。与格は、ふつう前置詞のあとに来ないので、н の付く形がありません。具格の ним、не́ю、ни́ми は、前置詞がなくても、いつも н で始まります。

黒田龍之助の文法書は、所格を前置格ともいいます。そちらの表でも、形はここと同じです。

日本語・英語と​比べると

日本語は、「私は・私を・私に」のように、助詞を変えて役割を表します。英語は、I と me、he と him のように、主語と目的語で形が分かれますが、ウクライナ語は6つの格で形が分かれます。また、英語の with him、to her のような前置詞のあとの形は、主語以外の形と同じですが、ウクライナ語の3人称は、前置詞のあとだけ頭に н が付きます。日本語に、これに近いものはありません。

例文

各文の下の説明は、代名詞の格と、その格になった理由です。

  1. Ти зна́єш мене́?(私を知っていますか)
  2. ти → 主格。主語。
  3. зна́єш → зна́ти の2人称単数。
  4. мене́ → 対格。知っている相手。
  1. Це кни́га для те́бе.(これは君のための本です)
  2. це → 「これは」。
  3. кни́га → 主格。述語になる単語。
  4. для → 「〜のために」を表す前置詞。あとに属格が続く。
  5. те́бе → 属格。前置詞のあとなので、アクセントが前の母音に移る。
  1. Окса́на живе́ бі́ля нас.(オクサーナは私たちのそばに住んでいます)
  2. живе́ → жи́ти の3人称単数。
  3. бі́ля → 「〜のそばに」を表す前置詞。あとに属格が続く。
  4. нас → 属格。複数の1人称は、対格・属格・所格が同じ形。
  1. Окса́на чита́є нам кни́гу.(オクサーナは私たちに本を読んで聞かせます)
  2. чита́є → чита́ти の3人称単数。
  3. нам → 与格。本を聞く相手。
  4. кни́гу → 対格。読むもの。
  1. Вона́ гово́рить з ни́ми.(彼女は彼らと話します)
  2. вона́ → 主格。主語。
  3. гово́рить → говори́ти の3人称単数。
  4. з → 「〜と一緒に」を表す前置詞。あとに具格が続く。
  5. ни́ми → 具格。вони́ の具格は、頭に н が付く。
  1. Я ча́сто ду́маю про не́ї.(私はよく彼女のことを考えます)
  2. ча́сто → 「しばしば」を表す副詞。
  3. ду́маю → ду́мати の1人称単数。
  4. про → 「〜について」を表す前置詞。あとに対格が続く。
  5. не́ї → 対格。前置詞のあとなので、頭に н が付く。
  1. На ній си́ня су́кня.(彼女は青いワンピースを着ています)
  2. на ній → 所格。вона́ の所格は、前置詞のあとにだけ現れ、頭に н が付く。
  3. си́ня → 形容詞・女性・主格。су́кня に合わせる。
  4. су́кня → 主格。主語になる単語。

練習問題

正しいものを選んでください。

  1. Ти зна́єш( я / мене́ / мені́ )?
  2. Це кни́га для( він / його́ / ньо́го ).
  3. Окса́на чита́є( ми / нас / нам )кни́гу.
答え
  1. мене́(зна́ти のあとは対格)
  2. ньо́го(前置詞 для のあとは属格で、3人称は頭に н が付く)
  3. нам(「〜に」は与格)

参考に​した​資料

  • 中澤英彦『ニューエクスプレス ウクライナ語』白水社、2009年、p.79「人称代名詞の格変化(1)」(я・ти・ми・ви の6つの格、前置詞のあとのアクセント)
  • 同、p.87「人称代名詞の格変化(2)」(він・воно́・вона́・вони́ の6つの格、н- の付く形)
  • 黒田龍之助『初級ウクライナ語文法』三修社、2017年、p.231「ウクライナ語の変化表 代名詞」の人称代名詞の表(1〜3人称の6つの格、アクセントの移動と н の注)