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非人称文​(мені́ хо́лодно)

2026-10-08

非人称文は、主語のない文です。「寒い」「悲しい」のように、天気や心身の状態を言う文に使います。主語(主格)の代わりに、述語になる副詞(хо́лодно、су́мно など)を置き、状態を感じる人は与格で表します。時制は、бу́ти「ある・いる」を使わない現在、було́ を挟む過去、бу́де を挟む未来の3つです。初級の範囲では、この3つの時制と、тре́ба を使う文を押さえれば足ります。

使う​場面

天気、部屋の暖かさ、気持ちのように、誰かが何かをしているのではなく、状態がそこにあるときに使います。日本語の「寒いです」「悲しいです」と重なる場面です。

状態を感じる人を言うときは、その人を与格にします。「私は寒い」は、「私が」ではなく「私にとって寒い」という形で、мені́ が与格です。与格の作り方は、与格の記事で説明しています。

  • На ву́лиці хо́лодно.(外は寒いです)
  • Мені́ хо́лодно.(私は寒いです)

作り方

文の中心は、変化しない述語副詞です。хо́лодно(寒い)、те́пло(暖かい)、су́мно(悲しい)のように、-о で終わる語が多くあります。主語はなく、性や数に合わせて語尾が変わることもありません。

作り方
時制文日本語
現在На ву́лиці хо́лодно.外は寒いです
過去На ву́лиці було́ хо́лодно.外は寒かったです
未来На ву́лиці бу́де хо́лодно.外は寒いでしょう
与格+現在Мені́ хо́лодно.私は寒いです
与格+過去Мені́ було́ хо́лодно.私は寒かったです

現在では、бу́ти を言いません。過去は було́、未来は бу́де を、述語副詞の前に置きます。主語がないので、було́ は男性・女性・複数の主語に合わせず、いつも中性の形です。бу́ти の過去形の作り方は、過去形の記事で、бу́де は未来形の記事で説明しています。

否定は、述語副詞の前に не を置きます(Мені́ не хо́лодно.「私は寒くありません」)。語順は「AはBです」の文の記事の否定と同じです。

動詞を​使う​非人称文

特定の動詞の3人称単数の形でも、非人称文を作ります。過去では中性の形(-ло)を使い、бу́ти は使いません。時制は動詞の形で変えます。

動詞を使う非人称文
動詞現在過去意味
хоті́тисяОкса́ні хо́четься чита́ти.Окса́ні хоті́лося чита́ти.読みたい気がします・読みたい気がしました
щасти́тиЙому́ щасти́ть.(この記事では扱わない)運がいい

хоті́тися のあとには不定詞が続き、「〜したい気がする」という意味になります。Я хо́чу…「私は〜したい」は、欲しい気持ちを直接言う文です。хоті́тися のほうは、気持ちが自然に起こるという言い方で、人は与格です。

тре́ба を​使う​文

тре́ба は、「〜しなければならない」「〜が必要だ」を表す述語です。変化せず、感じる人(必要な人)は与格で言います。あとには不定詞か、属格の名詞が続きます。

тре́ба を使う文
あとに続く形意味例
不定詞〜しなければならないМені́ тре́ба йти.
属格の名詞〜が必要だДо ка́ви тре́ба цу́кру.

属格の作り方は、属格の記事で説明しています。

日本語・英語と​比べると

日本語の「寒い」は形容詞なので、「私は寒い」のように主語を立てられます。ウクライナ語では、主語は主格の「я」ではなく与格の мені́ で、文の中心になる語は形容詞ではなく、変化しない副詞です。英語の I am cold のように be 動詞を置く言い方は、現在にはありません。過去と未来には було́ と бу́де がありますが、これは主語に合わせて変わる бу́ти の形とは違い、いつも同じです。

例文

各文の下に、単語の形と、なぜその形かを書きます。

  1. Мені́ хо́лодно.(私は寒いです)
  2. мені́ → 与格。状態を感じる人。
  3. хо́лодно → 述語副詞。変化せず、主語はない。
  1. Вчо́ра на ву́лиці було́ хо́лодно.(昨日、外は寒かったです)
  2. вчо́ра → 「昨日」を表す副詞。
  3. ву́лиці → 所格。на のあとで、場所を表す。
  4. було́ → 非人称文の過去。いつも中性の形。
  1. За́втра бу́де те́пло.(明日は暖かいでしょう)
  2. за́втра → 「明日」を表す副詞。
  3. бу́де → 非人称文の未来。
  4. те́пло → 述語副詞。
  1. Окса́ні хо́четься чита́ти.(オクサーナは読みたい気がします)
  2. Окса́ні → 与格。気持ちが起こる人。
  3. хо́четься → хоті́тися の3人称単数。
  4. чита́ти → 不定詞。
  1. Мені́ тре́ба йти в мі́сто.(私は町へ行かなければなりません)
  2. тре́ба → 必要を表す述語。
  3. йти → 不定詞 іти́「歩いて行く」の、母音で終わる語のあとの形。移動動詞の記事で説明している。
  4. мі́сто → 対格。行き先を表す в のあと。
  1. До ка́ви тре́ба цу́кру.(コーヒーには砂糖が必要です)
  2. ка́ви → 属格。до「〜に(添えて)」のあと。до のあとはいつも属格。
  3. цу́кру → 属格。тре́ба のあとの、必要なもの。
  1. Мені́ тут не су́мно.(ここでは、私は悲しくありません)
  2. тут → 「ここで」を表す副詞。
  3. не → 打ち消しの語。述語副詞の前に置く。
  4. су́мно → 述語副詞。

練習問題

正しいものを選んでください。

  1. На ву́лиці( холо́дний / хо́лодно / холо́дна ).
  2. Вчо́ра мені́( було́ / бу́де / була́ )су́мно.
  3. До ка́ви тре́ба( цу́крові / цу́кру / цу́кром ).
答え
  1. хо́лодно(述語副詞は変化しない)
  2. було́(過去の非人称文はいつも було́)
  3. цу́кру(тре́ба のあとの必要なものは属格)

参考に​した​資料

  • 中澤英彦『ニューエクスプレス ウクライナ語』白水社、2009年、p.59「3. 非人称文」(与格・述語副詞、過去 було́・現在・未来 бу́де、хоті́тися と щасти́ти)
  • 同、p.75「2. 非人称文の述語」(不定詞と属格の名詞が続く)
  • kaikki.org Ukrainian「те́пло」(2026-10-08閲覧)述語副詞としての語形の確認